ドローンで空撮を行うまでの手順書

Asteriskの吉田です。

今や多くの人の身近になりつつあるドローン、もはや存在を知らない人はごく少数派となったのではないでしょうか。なんかラジコンみたいでやってみたいなーとかここからドローンで撮影出来たらクールだろうなーなどと思った方々に向けて現状どういったルートでドローンを操作出来るようになるか又、撮影出来るのかを順番にご紹介していきます。

 

ドローンに関わる法律

まず初めに知っておいてほしいのはドローンはどこでも自由に飛ばすことの出来るものではないということです。
数十年前に流行ったカーラジコンなどとは違い色々な法律がごちゃごちゃに入り乱れてきます。

実際に飛ばすとなった時にその飛ばそうとしている場所によってどんな法律が関わってくるのはを自分で判断しなければいけないというところがなによりも難しい点だと感じます。

 

必ず知っておかなければいけない法律

ドローンを飛ばす上で関わってくる法律は『航空法』『小型無人機等飛行禁止法』『電波法』『港則法』『民法』『河川法』『自然公園法』『その他特定の条例』等です。


なんとなくイメージ出来そうなものでも深くは知らない。で、結局それがどう関与してくるの?的な難しそうな言葉がいっぱいでてきましたね。

ですがドローンを飛ばす上では絶対に必要不可欠な情報ですのでしっかりと勉強してから安全なフライトを行えるよう一つずつご紹介します。

航空法

なんとなくわかると思いますが空のルールになります。主に飛行機の運航に支障をきたさない、空の安全を保つためのルールで地上で言えば道路交通法といったところでしょうか。

1.夜間飛行
2.目視範囲外
3.人物、建造物などから30m以内の範囲
4.催し場所(人が集まってる場所)での飛行
5.危険物の輸送
6.物件落下
7.空港周辺
8.150m以上の上空
9.人家の集中地域(DID)

これらが航空法で定められている規制ルールになります。要は危険な行為ということですね。

7番目のルールに関しては空港によって距離が変わりますが基本は周囲6km以内、沖縄では24km以内とされています。また進入表面、水平表面、延長進入表面などと細かく分かれており空港によって制限が変わってきますので十分に確認すること、もしくはそのエリアは回避する方が無難でしょう。

9番目のルールについては国土地理院の人口密集度マップで確認することが出来ます。

一番クリアしにくいのは3番目のルールです。人物はわかりやすいですが建造物などのものについてが厳しい内容となっています。どのようなことかと言いますと自分や撮影依頼者に所有権のない全てのものが対象で例えば道に停めてある自転車や車、電柱、電線、住宅、ガードレールに至るまで全ての物になります。

わかりやすくするとこれら全ての物体に半径30mのシャボン玉をつけそのシャボン玉に触れることは許されないということです。

一度意識して外を歩いてみてください。そんななにもない場所なんて運動コートか海岸などの浜辺、広い公園、河川敷ぐらいしかないです。

かなり飛ばすことが可能な場所が絞られました。更に!運動コートならフェンスやサッカーゴール、公園ならベンチや時計台・遊具、河川敷ならガードレールなどこれらのものも回避する必要があります。※ただし例外として草木などの自然物は除外されます。

 

小型無人機等飛行禁止法

少しマイナーな法律ですがドローンを飛ばす上で全く無視できないドローンの為に作られた法律といっても過言ではない新しい法律です。正式名称は『国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他のの国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律』

内容は至ってシンプルで『国が定める重要施設付近とその周辺およそ300m以内でのドローンの飛行禁止』というものです。
指定されている場所は警察庁【小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係】に詳しい情報が記載されています。

※こちらで注意しなければいけないのは200g以下のドローンであっても適応対象となることです。

 

電波法

通常ドローン飛行時に機体からプロポと呼ばれるコントローラに飛ばされている電波は普段皆さんが何気なく使っている2.4GHzという周波数帯なので特別なことがない限り気にすことはありませんが少し触れておきましょう。

前途した通りドローンの操作をプロプで行う場合は大抵2.4GHz帯を使っているものが多いですがFPV(FirstPersonView)いわゆるゴーグルをつけて一人称視点の画面を見ながら行う操作は5.8GHz帯が使われていることが多いのです。

5.8GHz帯の方が通信速度が速く機体(送信側)から送られた映像データがより早く手元に転送される為ドローンレースなどにはこの周波数帯が使われることが一般的です。

詳しいことは省きますが、もしお使いになるドローンが2.4GHz帯以外のものやFPVを楽しみたい場合、個人の用途では『アマチュア無線4級以上』ビジネスで使うなら『第三級陸上特殊無線技士以上』の資格が必要となり更に無線基地局を開設しなければなりません。

 

港則法

海上を飛ばす際に注意しなければならないのは港則法。港則法は港内における船舶交通の安全及び港内の整頓を図ることを目的とした法律で一見ドローンの飛行に関係ないように感じますが撮影の仕方によっては行事とみなされ申請許可が必要となります。

どういった撮影の仕方なら行事とみなされるのか?などの定義は明確ではなくそれは各々管轄の海上保安部の判断によって変わることが予想されます。

実際に海上保安部に出向き色々をお話しをする機会を設けさせてもらいましたが口頭で答えられること(その場でこれはいいあれはダメ等)は出来なくとりあえず申請書を提出して頂ければ安全面対策など色々と相談に乗ってくれるとのことでした。

なんにせよ港則法適応内では必ず申請を行わなければなりません。申請許可には一か月程度の時間を要しますので注意が必要です。

港則法の適応範囲は海しる「港則法区域」こちらで確認できます。

 

民法

ドローンを飛ばす上でまず一番最初に許可を取りたい、クリアしたいところはこの民法になります。何が関係するのかというと『土地所有権』が関係してきます。

どんなに時間をかけて関係各所の許可を得てもドローンを飛ばす場所や通過する上空の下にある土地の所有者が『NO!』と言えば全てが水の泡になります。

例えばディズニーランドを上空から空撮したい!と思って相当な時間をかけ様々な資格や許可を取ってもディズニーランド側の許可が出なければ全くの無意味なのです。

ですので土地所有者の許可は一番最初に得るべき許可です。

難しい話をすると土地の所有権はその土地の地下から上空までとなっていますが肝心の高さ何mまでと決まっているわけじゃないのです。もし何か問題を起こして裁判なんかになったとしたならば一般的に考えて墜落する可能性も0じゃないのに許可を取らない方に過失があるとみなされるでしょう?

無許可っていうものはすごく無責任な行動です。まずドローンを飛ばす際は飛ばしたい場所の所有者に許可を求めることが必須です。

 

河川法

河川法では特にドローンの使用、飛行について記載した文面はまだ存在していません。ですが【河川法2条1項】『河川は、公共要物であってその保全、利用その他の管理は、前条(河川の適正な利用)の目的が達成されるように適正に行わなければならない』と定義されています。

ドローンの飛行が河川の適正な利用範囲内にはいるかどうかはまた民法の話になってくるのでおいといて、要は河川管理者に許可をするべきということになります。

また一部の河川ではすでに明確にドローンの飛行自体を禁止している場所もいくつかあるみたいですので今後ドローン操縦者のマナー次第で明暗がわかれそうですね。

河川の管理者は【1級河川】は国土交通省、【2級河川】は都道府県知事となっています。

 

自然公園法

こちらも内容は河川法とほとんど同じです。特にドローンについて明確な記述はありませんが他の利用者に著しく迷惑をかける行為を行ってはならないとの示されています。ドローンの飛行はこれに適応される可能性が非常に高いので無断で飛行することはやめましょう。

国立公園や都道府県立自然公園などがありその管理は国や各都道府県が行っています。

 

ドローンに関わる法律のまとめ

ここでは紹介しきれませんが他にも各都道府県の条例などドローンを飛ばすのは非常にシビアで高いハードルとなっています。

車を運転するには道路交通法を熟知していないといけないように、上記で紹介した内容はドローンを操縦する者は誰もが把握してないといけない法律となります。

私はドローンの操作、飛行も国家資格にするべきだと思います。ドローンに飛行に関して関係してくる法律が多すぎて実際容易に飛ばすことは出来ない反面で機体自体は簡単に購入することが出来てしまいます。容易に購入出来てしまうが為なんの知識も持たずにドローンの飛行を行いニュースに取り上げられたりとドローンに対して世間のイメージはあまりよくない状態となっています。

少し話が逸れましたがドローンを飛ばす上では避けられない法律なのでここではなんとなくどういった法律が関与してくるのか理解してもらっていれば幸いです。

 

ドローンを飛ばす場所の選択

自然が多い場所の方が飛ばしやすい

上記の法律をある程度理解したら次は飛ばす場所の選定ですね。現在所持している、もしくは新たに購入するドローンの機種によって変わってきますが200g以上のドローンと仮定して話を進めていきます。

実際にドローンを飛ばそうとさてどこでやろうかなーと考え始めると以外と飛ばすことの出来る場所って少ないんです。

もし家の近くに広い公園があるからそこで練習をしようと考えても公園は人工的に作られた建造物が多く存在しています。これは仮に公園管理者の許可が出たとしても上記航空法の3番目(人物や建造物の周囲30m以内の飛行禁止)に反してしまいます。

車がほとんど止まっていない広い駐車場なども所々に電灯が建ってることが多くこちらもかなり難しい場所となります。

以外と飛ばせる場所って少ないのです。ではどこでなら飛ばせるかと考えたとき候補としてあるのが海岸沿いや河川、森や山などでしょうか。

もちろん自分が所有している田んぼや近所の人に許可を得た田んぼの上なども有効でしょう。

なんにせよ人工的に作られた建造物を避けるとなると自然の多いエリアにいくしかなくなります。逆を言えば自然が多い田舎に住んでいる人は飛ばせることが可能な場所は容易くみつけられることでしょう。

だとしても所有者・管理者へ連絡をし許可を得て、飛ばす際は周囲に人がいないことをこまめに確認することが求められます。

黙ってても始まらないのでトライアンドエラーの繰り返し作業になりますが下記の例を見ながらどういった場所を選択しどうやって調べていくのか練習してみてください。

例1…沖縄南部・喜屋武岬

ここから海上に出て陸側を撮影したいと設定した場合どういった法律が関与しどこに申請許可が必要となるのか考えてみましょう。

飛行可能かどうか

初めにDIDチェックを行いましょう。

DIDの人口密集地は左上らへんにある赤くなっているエリアなのでここは問題ないですね。

次に那覇空港が近くになるのでそちらも確認してみましょう。確認に使用するのは同じく地理院地図を利用します。

もろに範囲にはいっていることがわかりますがこれが何を意味するのかわからない場合は掘り下げて調べていくしかありません。

空港周辺でのドローン飛行に関する情報は各空港によってルールが変わってきますが基本は【国土交通省:無人航空機の飛行許可が必要となる空域について】を参考にしていきます。

これを参考にすると喜屋武岬の位置する場所が延長進入表面下にあることがわかります。

詳しくは成田国際空港株式会社のサイトを参考にしてみていきましょう。

出典:成田国際空港株式会社

空港周辺でのドローン飛行に関する規制はざっくりと半径6km以内での飛行は禁止となっています。ですが『羽田や成田、中部、関西、釧路、函館、仙台、大阪国際、松山、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、那覇』これらの空港においては半径24km以内での飛行が禁止されています。

この時点で喜屋武岬でのドローン飛行は更にハードルがあがり趣味などでの飛行はまず無理な場所となります。もちろん業務上必要な場合などは関係各所に申請許可を取れば撮影することは可能になります。

 

例2…沖縄中部・読谷もめんばるビーチ

こちらも同様に最初はDIDチェックをしその他色々調べていきます。

わかりにくいですが丁度真ん中の×印の西側になりますのでDIDはクリアです。例1では那覇空港延長進入表面下に位置していましたがこちらは空港から離れておりそちらの点は問題ありません。

沖縄には米軍基地が多く点在しておりこの場所の近くには嘉手納飛行場がありますのでそちらを確認してみましょう。

こちらのマップは防衛省の在日米軍の対象防衛関係施設一覧でみることができます。

比謝川の南側が嘉手納で北側がもめんばるビーチのある読谷村になります。赤の範囲内は基地部、青のラインは周囲約300mラインの線でこの線より内側ではドローンを飛ばすことは出来ません。ですのでこれもクリアとなります。

ですがここは一応飛行場となっていますので周辺の飛行可能エリアをDJIの安全飛行フライトマップでチェックしてみましょう。

出典:DJIフライトマップ

はい、完全にアウトですね。米軍基地の周囲300mの壁がクリア出来ても油断するべからず、飛行機が行き来する場所の近くはかなり広い範囲で禁止となっていますね。まー安全面を考えれば当然といえば当然です。

 

 

例3…沖縄北部・恩納村ダイヤモンドビーチ

続いては沖縄の北部に位置する比較的人口の少ない恩納村ダイヤモンドビーチで調べていきましょう。(目標地点が検索できなかったためダイヤモンドビーチカフェさんを参照しています。こちらの裏手側がビーチになっています)

例2の読谷村より更に北に位置する為空港の飛行不可範囲とDIDの人口密集地域は完全にパスしています。

この辺りには米軍基地のキャンプハンセンがありますので、例2同様に防衛省の在日米軍の対象防衛関係施設一覧を参考にし飛行可能かチェックしましょう。

青のラインより内側は在日米軍の対象防衛関係施設周辺エリア内で飛行禁止となっていますからこちらの場所も範囲内となりますので各所への申請許可が必要となります。

 

実際に容易に飛ばせる場所は少ない

ドローンは年々技術向上によりほとんどブレることのないGPS制御や全方向の障害検知など様々な機能が付与され初心者でも比較的安全な操作が行えるようになってきました。

しかし空を飛んでいる以上落下する危険性や目視外での機体紛失などの事例はゼロになることはなく人や物に危害を加えてしまう可能性もあるので安全面を考慮した法律が入り乱れており結果として理解することすら難しいぐらいややこしいものとなっています。

そういった点で考えると練習する場合はやはり人や物がないだだっ広い場所やもしくは自身の所有地や練習場などで飛ばすことをおすすめします。

 

飛行可能場所検索手順まとめ

重ね重ねになりますがドローンを飛行させるには数々の法律を理解した上で飛ばすことが必要不可欠となってくることは念頭においてください。それを理解した上でいざドローンを飛ばそうと思った時にどこで飛行させることが可能なのかを調べる為の手順を紹介します。まず自分が所有しているドローンが200g以上か200g以下なのかで変わってきますが200g以上のドローンを飛ばす場合の手順を紹介します。

1.飛ばせそうな場所を候補にあげる
2.DIDでの人口密集地チェック
3.空港付近や外径水平面積にかかっていないかチェック
4.国の指定した重要防衛施設等が近くにないかチェック
5.所有者もしくは管理者への使用許可を取る
6.管轄警察署に一報をいれる

色々を調べていくうちに2.3.4に関しては自分の住んでいる周辺などはだいたい頭にはいってきますので難しいのは最初だけです。いくつか飛ばせる場所が出来れば練習にも精がでます。またドローン愛好会など地域のドローン先輩をみつけることは何よりの近道となりますのでそういった機会があればいいですね!

海上などでは海上保安部への申請なども必要になってきますので更にややこしくなるのでまずは地上でドローンの練習する場所を見つけることが上達への第一歩となります。

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